数字を活用する方法?2
数字を見るだけ、聞くだけでも影響があることがわかりました。
しかし、それは良い影響だけではなく、良くない影響もあります。
それでは、どのような影響があるのかミカエル・ダレーンさん、ヘルゲ・トルビョルンセンさんの『数字まみれ』で学んでいきたいと思います。
人は比較が好き
人は、社会と自分を比較したくなります。
しかし、比較をしてもあまり良い傾向は見られないようです。
人は比較するときに「自分より上」と感じてるものと比較したくなる傾向があります。
それだけならよいのですが、
社会的に「自分より上だ」と感じている人と比較することで自信を失ってしまいます。
そして、自信を失った結果「周りは自分よりも良い生活をしている。」と感じやすくなり、自分が得た経験を過小評価するようになってしまいます。
また、比較の実験として以下のような内容もあります。
収入について
① 相手が20万円で、自分が10万円
② 相手が1万円で、自分が5万円
これのどちらがよいですか? という質問に対して、
「②」の方が良いと答える人の割合の方が高いそうです。
自分の収入が減っても周りより高いということに価値を感じるのですね。
データは大事だけれども
現在の世の中はあらゆることで「データ」をとれるようになっています。
歩数・心拍数・運動時間など様々なことが記録できます。
色々なデータを簡単にとれるようになっている世の中ですが、
データをとることによる「良くない」点があります。
それは「データをとることで意欲が下がることがある」という点です。
数字を意識して、さらに前よりよくなるように・・・という形で意欲が上がって
いくような気もするのですが、なぜ意欲が下がってしまうのでしょうか?
その理由の一つとしては
・始めるときは、好きでスタートした。
・データ(記録)をとるようになると、している行動の「効果」に注目するようになる
・思ったより効果がないと感じ、意欲が下がってしまう。
ということがあるようです。
初めは自分からやりたい内発的な気持ちでスタートしたために意欲が高いのですが、
データをとることで、外発的な効果という「ごほうび」が無いと意欲が続かなくなって
しまうそうです。
絵が好きでかいていた子どもをほめると、「ほめる」というごほうびがないと
絵をかかなくなってしまうことと同じ現象ですね。
「点数」で判断の注意点
今は世の中のあらゆるものが評価されています。
テレビ・マンガ・映画・ゲーム・本などの娯楽だけでなく、朝ごはんの写真、
お昼ごはんの写真、夜ごはんの写真・・・と様々なものが評価されます。
評価により、色々な判断をしやすくなります。
・おいしいお昼ご飯のお店は?
・休日へお出かけする場所は?
・今週見るテレビ番組は?
世間の評価を見ると、高い点数からそうでないものが並んでいます。
あとは点数が高いものを選んでおくと間違いはないかと考えられ、
判断の基準として非常に役立っています。
ただ、この数字による評価には注意も必要です。
・誰かが意図的に低く点数をつける
ということがあるのはもちろんですが、たとえば10段階で評価するときの
ことを想像してみます。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
旅行にでかけて泊まった場所がとてもすてきな場所だった。
食事はおいしいし、部屋からの景色も美しい。
温泉も気持ちよく、困っていたときには非常にていねいに対応してくださった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
と、今回の旅には非常に満足です。
そこへ、今回の旅を0点〜10点で評価してください。
と言われて「最高だった!10点だ!」という点数をつけました。
一方で次のような経験をすることがあるかもしれません。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
旅行にでかけて泊まった場所がとてもすてきな場所だった。
部屋からの景色も美しいし、温泉もとても気持ちよかった。
困っていたときには非常にていねいに対応もしてくださった。
しかし、食事では苦手なものがでた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そこへ、今回の旅を0点〜10点で評価してください。
と言われ「本当によかったけど、食事で自分の苦手なものがでたから8点」
という点数をつけたとします。
すると、他の人が見たときには、景色も、温泉も、対応も「8点」という
認識になってしまうのです。
また、このような他の人がした評価をみると
「Aは10点で、Bは8点か。本当はBに行こうと思ったけれど10点のAにしよう」
と、行動にまで影響が出るようになります。
さらに、数字の影響が非常に強力であることを示す実験があります。
①よくないコメントが書いてあるが、点数は5点。
②よいコメントが書いてあるが、点数は3点。
このような場合「①」の方が多く選ばれたそうです。
普段の自分の選択においても、「点数」が大きな影響を与えているのですね。
