「後悔」の取扱説明書
「後悔せずに前向きにいこう」というはげましの言葉があるように「後悔はよくない」と考えられることが多いです。
しかし、「後悔」にも役立つ使い方があります。
今回はダニエル・ピンクさんの『振り返るからこそ、前に進める』で、「後悔」の利用方法について学んでいきたいと思います。
後悔の良い影響
1 これからの選択をよくする
・やればよかった。
後悔をすることで「○○していれば」と考えて行動にうつしやすくなります。
・やめればよかった
たとえうまくいっていないことでも、時間と労力をかけたことをやめるのはもったいないと考えてしまいます。
しかし、後悔をすることで、うまくいっていないことをやめることができます。
2 粘り強さをもたらす
課題に取り組んだあと、「もっとよいパフォーマンスができたはずだ」と考えるようにします。すると、粘り強く取り組めるようになります。
3 充実度が高くなる
後悔を通して、その後はよりよい行動をとりやすくなることで、充実度が高まります。
後悔の種類
後悔にも色々なタイプがあります。その中の主なものをみていきます。
1 基盤に関する後悔
健康・教育・お金などに関する後悔です。
基盤による後悔については「人物による影響」を過大に考え「環境の影響」を忘れてしまいます。
たとえば、健康によくないことがあった場合に、「本人の不摂生に原因がある」というように「人物による影響」が強いと考えがちです。
しかし、実際には「人物+環境」の両方に影響を受けていることが多いので、人物だけを変えるのではなく両面から変える必要があります。
2 勇気に関する後悔
「あのとき行動できなかった」という後悔です。
これに関しては「次はチャレンジしよう」という心構えを持つことが大切です。
3 道徳に関わる後悔
「あのとき、よくない行動をとってしまった」という後悔です。
迷ったときには、自分にとって正しいと思う行動をとることで防げるようになります。
4 つながりに関わる後悔
「人との関係」についての後悔です。
関係を保ちたい人がいるのであれば、自分から積極的に連絡をとってみるようにしましょう。
後悔とむきあう方法
1 後悔を認める「セルフ・ディスクロージャー」
後悔を「紙に書いたり、言葉にしたりする」ことで、思考を整理します。
具体的に後悔していることを認めるという段階です。
2 後悔を受け入れる「セルフ・コンパッション」
・友人が後悔していたらどのように接するか?
・この後悔は自分だけに起きることか?それとも全員に起きることか?
というように考えて後悔を受け入れるようにします。
3 後悔について分析する「セルフ・ディスタンシング」
・後悔の履歴書を作る
自分の後悔の特徴が分かるので、同じ後悔をしないようにできます。
・目標をたてるときに、後悔をあらいだす
後悔をあらいだすことで、目標達成への方法に工夫を考えられるようになります。
4 次への戦略をたてる
・「もし○○をしなければ、将来大きな後悔につながる」と考える。
そして○○を実行する。
・自分のことを「三人称」で話す。または「友人に話しかける」話す。
客観的に観察してアドバイスできるようになります。
・時間的な距離をとる。
後悔に対してとった行動を、10年後の自分が関心しているところを想像します。
10年後の自分が関心した行動をとるようにします。
後悔から未来を予測する
「後悔」を利用することで未来の予測をすることができるようになります。
具体的には
「もし○○をしなければ、将来の自分は後悔するか?」の問いにしたがって、後悔しそうなことを未然に防ぐことができます。
しかし、これには注意も必要です。もし、後悔を予測しすぎてしまうと
「もし違う行動をとっていれば、もっとよい結果になったかもしれない・・・」
と、考えすぎてしまいます。
これにより、せっかく行動をしても幸福度が下がってしまうようになります。
後悔を予測するのは
「基盤」・「勇気」・「道徳」・「つながり」の後悔にのみ焦点をあてるとよいですので、後悔の予測をするときには、4つの後悔にあてはまっているかを確認しましょう。
