やってはいけない権力者の選び方
「権力のあるところ、必ず腐敗が起きる・・・」
というのは本当なのでしょうか?
今回から、ブライアン・クラースさんの「なぜ悪人が上に立つのか」で権力について学んでいきたいと思います。
腐敗がおきる原因は何?
実際は権力が原因で腐敗が起きるのかどうか分からないのです。
その理由としては、他にもいくつかの可能性があるからです。
1 権力をにぎると人は腐敗する
2 権力欲がある人が権力をにぎろうとする
3 選ぶ側が、権力欲のある人を選んでしまっている
4 制度によって腐敗している人を選んでしまっている
1は権力が原因、2は権力をにぎる人、3は権力者を選ぶ人、4は制度に原因があると考えられるのです。
もちろん、それぞれが組み合わさっていることもあるでしょう。
権力に引き寄せられる人とは?
組織を変えたいと思うときには、まずおこなわれることは何でしょうか?
多くの場合「組織内の意識改革」や「組織内の制度改革」が行われます。
しかし、他にも必要なことがあります。それは「変えた組織に合う人」を雇うことです。元々の組織には、元々の組織に合う人がいます。その人たちがいる限り、よくも悪くも完全に変えることは難しいのです。
権力にも同じことが言えます。権力を持ちたいと思っている人が、権力を持つポジションにつきたいと考えます。
元々、権力を持ちたいと思わない人は、権力を持つポジションに立候補しません。
その結果、「権力を持って○○をしたい!」という人たちが集まることになります。
この「○○」の部分がもし良くない内容であったらどうなるでしょうか。
つまり、権力によって腐敗するのではなく、腐敗する可能性のある人が権力をにぎっていることになります。
もし、(今、権力が腐敗しているな・・・)という状況にある組織は、これからもそのような人が権力をにぎりつづけることになるかもしれないということですね。
どんな人を選びたい?
人々は、どのような人に権力者になって欲しいと考えているのでしょうか?
人々は無意識に
・身長が高い人
・力の強い人
・攻撃的な人
このような人を選びがちだそうです。
これには理由があり、石器時代までさかのぼります。この時代には大きくて強い人がリーダーに選ばれていたと考えられます。
その方が食料を得ることができる可能性が高くなるからです。
この時代は非常に長く続きました。その結果、今の人類にも「大きくて強い人」というのはリーダーにふさわしいと考える傾向にあります。
また、攻撃的な人も「強そうだ」と認識されリーダーにふさわしいと見られる傾向があります。さらに「自信がありそう」な人も指導者に適していると判断されやすいのです。
これも、かつて食料が得られるかどうかというときに
「みなさん、こっちにいけば食料があるかもしれませんし、ないかもしれません」
という人より
「みんな!こっちには水も食料もあるぞ!私についてきなさい!」
という人の方がリーダーに向いていたからだと考えられます。
このように、「今の時代の権力者に必要な力」とは関係のないところで判断されていることが多くなるのです。
結局悪いのは人?
・権力をにぎりたがる人
・権力者になりたい人を選ぶ人
結局、悪いのは人なのでしょうか?
もちろん「人」にも原因がありますが、「制度」にも原因があります。
同じ人でも環境が違うと、違う行動をとることがあります。
その行動の違いに「制度」が影響しています。「制度」とは「このように人々に行動して欲しい」というものです。
制度は地域によって差が生まれます。
たとえば、争いが起きている地域であれば「多少厳しく罰してでもこの争いをおさめて欲しい」と考えるかもしれません。一方で、平和な地域では「厳しい罰はない方がよい」と考えるかもしれません。
環境が違う地域では同じ制度を作ることはできません。
もし、あなたが争いが起きている地域のリーダーとなった場合はどうするでしょうか?
人々の期待に応えて「厳しい罰則」を制度にする必要がでてきます。
するとあなたは「厳しい罰則」の制度をもとにして政治をおこなっていくことになります。
厳しい罰則がある場合、人々はその制度に基づいて、罰を与えます。
つまり、人の行動は性格だけではなく、制度にも影響を受けるということです。さらに、制度をつくるもととなる、環境にも影響を受けるということになるのです。
