やってはいけない権力者の選び方2
前回は、「権力のあるところに腐敗は存在する」のかどうかをみていきました。
内容をふりかえっていきます。
1 権力によって腐敗が起きるのではなく、( )人が権力をにぎりたいと思っている可能性がある。
2 人は( )人をリーダーにふさわしいと判断しやすい。
3 人は( )がありそうな人をリーダーにふさわしいと考えやすい。
4 人の行動は、その人の性格だけではなく( )にも影響を受ける。
回答例
1 腐敗する可能性のある 2 大きくて強い人(攻撃的な) 3 自信
4 制度(環境)
こちらが前回の内容でした。
それでは引き続き、ブライアン・クラースさんの「なぜ悪人が上に立つのか」で権力について学んでいきたいと思います。
権力は本当に腐敗するのか?
「権力は腐敗する!」といわれますが、この言葉は真実なのでしょうか?
実は、権力を持った人は腐敗している「ように見える」という面があります。
・権力者の選択
権力者は、どちらを選んでもよくない選択肢があったとしても、どちらかを選ぶ必要があります。
「良い:悪い=9:1」の選択肢と「良い:悪い=1:9」の選択肢があった場合、どちらを選択するでしょうか?
おそらく「良い:悪い=9:1」の方を選ぼうとするのではないでしょうか。このように、どうなっても被害が出てしまうときでも、被害を最小限に抑える選択をしなければいけない場合があります。
この結果、悪い方の「1」のみを見られると腐敗していると見られる場合があります。
2 選択の機会が多い
権力者は選択の機会が多くなります。たとえば、ある権力者Aが100回決断をして、10回は良くない選択をしていたとします。一方で、ある権力者Bが10回決断して5回良くない選択をしていたとします。
この場合、どちらの方がよくない権力者でしょうか?回数だけ見るとAの方がよくない権力者に見えます。しかし、割合でみるとBの方がよくない権力者になります。
つまり、選択の機会が増えることで「よくないことをした」回数が増える可能性が高くなるのです。回数だけで判断すると、仕事を放棄して、何も選択しない人が良い権力者ということになってしまいます。
3 権力者は一般の人よりも見られている
権力者によくない人がいるように、一般人にもよくない人はいるでしょう。しかし、一般人が常に審査されているという状況はあまりなく、権力者は多くの目で見られているという状況はあります。
これにより、もし権力者が何かよくないことをした場合は誰かに発見される可能性が高くなります。逆に一般人が何かよくないことをした場合でも、権力者に比べて発見される可能性が低くなります。
発見されることで「権力者はよくないことをしている」と考えられる機会が増えることになります。
このように、権力者が一般人に比べて特別腐敗していないとしても、「権力によって腐敗した」と見られやすくなるのです。
ただ、このような条件を考慮してもなお「権力は腐敗する」といえるのです。
権力は腐敗した!
権力に関する以下のような実験で、「権力は腐敗する」と考えることができます。
(例)権力のレベルを変えるとどうなるか?
「低権力」「中権力」「高権力」「独裁」というレベルに分類し、お金を分け与えるという実験をします。
このとき、権力のレベルが高いほど、分け与えるお金の額が減る傾向がみられた。
さらに、実験の前に「権力者はどのようにふるまうことが必要か?」という質問に対して、「人々に平等であるべき」と回答していた人で実験しても、同じように権力のレベルが高いと分け与える額が減る傾向がみられた。
(例)車のレベルを変えるとどうなるか?
車の運転に関して、通常の車から高級車まで運転してもらったとき、どのような運転になるかを検証した。(高級車を権力の象徴と仮定した実験)
この結果、高級車の運転をしたときの方が運転が荒くなる傾向が見られた。
注意が必要であるのは、この実験にも問題があることです。
・「仮に」権力があったとしたらという、現実ではないという意識がある点。
・多くの実験で「大学の学部生」が参加している点。
→大学の学部生に「権力者や独裁者の心理」があてはまるのか?
このような問題点はあるにせよ、「権力は腐敗する」と言える傾向がみられます。
では、「権力が腐敗する」ことを防ぐためにはどうすればよいのでしょうか?
