失敗を使って、学習する方法4
前回は失敗から学ぶことが難しい理由についてみていきました。その内容を確認しておきたいと思います。
1 人は何かの原因を( )化して考える傾向があるため、振り返って原因を考えると、「非常に簡単な理由だった」と感じやすくなります。
2 何かが起きたときに、( )的な部分を理由だと考えやすく、シンプルな理由が正しいと感じやすくなります。
回答例
1 単純 2 特徴
それでは、今回もマシュー・サイドさんの『失敗の科学』で失敗から学べるようにしていきたいと思います。
量をこなすことで起きること
・小さく試してミスを減らす
完璧なものを完成させてから発表したいと考えることもあるかと思います。
「完璧主義」というのは非常に難しく、どんなに手をかけても問題は発生してしまうことが多いです。
そのため、とりあえず発表して周囲から意見を求める方が、結果的に早く、より質の高いものが完成する傾向があります。
・量により質が高まる
量と質に関する、以下のような実験をしました。
A:提出した「量」で評価するというグループ
B:提出した「質」で評価するというグループ
その結果、量を求めたAグループの方が、質を求めたBグループよりも、質の高いものを作るという結果になりました。
これは量をこなす過程で工夫が行われ、結果的に質の高いものを作ることができたということです。
小さな改善で大きな目標を達成する
大きな目標を達成するときに効果的な方法として「小さく分解する」というものがあります。
大きな目標に対して、まずは小さい課題に分解します。そして、分解した課題を1つ1つ改善していくことで目標が達成できるようになります。
失敗から学ぶために
・失敗を隠さない
ミスは隠したくなるということがあるかもしれません。そのため、ミスをしても共有して改善するという内部の空気は非常に重要になります。
・外部からの非難
何かが発生したときには、「理由」を求めることがあります。その理由を「わかりやすい」「単純な」「目立つ」ものに求めてしまうと本当の理由を見つけられなくなることがあります。
世の中は単純であるとは限りませんので、すぐに誰かを批判したり、何か1つだけを原因にしたりしないように注意が必要です。
・罰則による逆効果
失敗から学ぶためにはミスを多く報告してもらう方がチャンスが増えることになります。
そのため、ミスに対して罰を与えることになっていると、ミスの報告が減少してしまい、改善のチャンスが減ってしまいます。
実際に「ミスを多く報告するグループ」と「ミスを報告しないグループ」があった場合、結果的には「ミスを多く報告するグループ」の方がミスの数が少なくなる傾向があるとわかっています。
・失敗を能力の責任にしない
失敗を活かせるかどうかは、失敗をどのようにとらえるかにかかっています。
・「失敗は自分に能力が無いから」と考える場合
能力が無いからうまくいかないと考えるため、自分に制限をしてしまうことになります。
その結果、成長しにくくなってしまいます。
・「失敗は努力が足りていないから」と考える場合
自分の能力はまだ伸びると信じていることで、失敗から学ぶことができ、成長することにつながります。
失敗はするものとしておく
・事前に失敗を検証する
失敗をした前提で、なぜこのような失敗が起きたのか?を検証します。
「起きるかもしれない」ではなく、失敗が「起きた」とすることがポイントです。
