人心操作から身を守る2

 前回は、だまされてしまうきっかけとなる4つのクセや習慣についてみていきました。その内容を復習しておきたいと思います。

 1 だまされないための基本的な姿勢として、少し受け入れて、多く(  )するという姿勢が大切です。

2 人は目の前の情報に(  )することで、必要以上に信じてしまうという特徴があります。

3 (  )をすることで、自分の(  )が正しいという証拠を探すようになる特徴があります。【(  )には同じ語句が入ります。】

4 (  )をしている状態では、根拠が弱くても気にしなくなってしまいます。

5 決断のときに(  )を重視して調査をしないということがあります。

回答例

1 確認  2 集中  3 予測  4 思い込み  5 効率

いかがでしたでしょうか。それでは今回もダニエル・シモンズさん、クリストファー・チャブリスさんの『全員“カモ”』で人心操作について学んでいきたいと思います。

信じさせる「フック」

 信じるべきではないものを信じさせようとする「フック」となるものがあります。

 ・一貫性

 ・親近性

 ・正確性

 ・有効性

 この4種類があります。それでは1つずつ確認していきたいと思います。

一貫性

 一貫性というものは不安をとりのぞく要因になります。

 本来、現実世界で「一定」になるものはあまりありません。

 しかし、人は「得をする」ことよりも「損をしたくない」という気持ちが強くあります。

 たとえば「常に有名チェーン店で購入する」場合は、最高を更新するよりも、「今より悪いものには出会うことがないだろう」という部分に価値を感じている場合があります。

 このように一定であることは非常に魅力的です。

 そこにつけこんで、「成果は一定しています」という誘い文句でだまそうとすることがあります。

 これに対しては

 「一定ではない」ということが普通であるという認識が必要になります。

 むしろ、世の中は常に動いているので「一定」であることは本来、問題がある可能性すらあるのではないか?と考えることが大切になります。

 時々「最初と主張が変わってしまっているではないか!」と批判されていることがありますが、現実が変われば方針を変化させる必要もでてきます。

 主張が変わることは問題だと主張することに違和感を感じないのは「一貫性」が魅力的であるからかもしれません。 

親近性

 一貫性に通じるところもありますが、同じことを何度も目にしていると、親近感がでてきます。

 親近性を感じることで、危険ではなく安全だと感じるようになります。

 同じメッセージでも繰り返し発信され、何度か耳にするようになると親近性が高まり説得力が高く感じるようになります。

 人は迷っているときには「知っている、聞いたことがある」方を選びがちです。

 そのため、有名なものと似せてだまそうとすることがあります。

 対策としては「知らない」という前提でものごとを見聞きすることになりますが、簡単ではない場合もあります。

 脳は「知っているな」と感じたことは自動的に補完することがあるためです。

正確性

 具体的で詳細なデータを見せられると「正確である」と感じて信じやすくなります。

 また、数字を見せられると関連する他の数字と比較することなく「正しそうだ」と感じてしまうこともあります。

 たとえば、以下のような文章があったとします。

 「このイベントは100分の20の可能性で発生します。」

 「このイベントは1000分の200の可能性で発生します。」

 どちらの方が高い可能性で発生するでしょうか?

 

 計算をしてみると・・・

 同じだということがわかります。しかし、「1000分の200」の方が直感的には高く感じてしまうことがあります。

 今回の場合は「100分の20」という書き方ですが、分数で書かれているときや、声で聞いたときはより「1000分の200」の方が高い確率に感じてしまいます。

 これは「分母より分子」の大きさに強く影響を受けるためです。

 他には、小数で表現されているときも「ここまで細かい数字で書かれているのだから」と感じて正しいと考えやすくなります。

 数字で提示されたときには「同じ分野の他の数字」と比較することで正しいのかどうかを検討することができます。

 具体的な数字だから正確な情報だろうと考えてしまうので注意が必要です。

有効性

 毎日10秒とりくむことで、理想の健康的な体になる運動があります。

 このような、「小さなことで大きな効果を生む」という内容は非常に魅力的です。そのため、専門家でも正しい判断ができなくなることがあるくらいです。

 本来、複雑な問題というものは1つの原因で起きていることは少なく、多面的な解決策が必要になることが多いです。

 そのため、過度に有効性を伝えている場合は注意が必要です。

 このような場合には「有効になる要素は何か?」と問うことが必要です。

 実際に「小さなことで大きな効果を生む」と言われて広まった内容でも、大きな効果がなかったという例もあります。

(例)パワーポーズを1分すると許容度が高くなり、力強さを感じるようになる。

 これは「パワーポーズとよばれるポーズをするだけで、効果がありますよ」というものでしたが、再調査によると再現性がないものだったということが分かったそうです。

 このように「小さなことで大きな効果」ということは専門家にとっても正しく判断できないくらい魅力的なものですので、注意が必要になります。

 

だまされないためには?

 情報を提供されて、決断をする前に

 「大失敗をしたとすると、その理由は何か?」

 と考えるようにすることです。

 このように自問することで、「提供された情報が間違っていたら?」と考えることができるようになります。

たまには誰でもだまされる

 誰しもだまされたくはないものです。

 しかし、「だまされたくない」という気持ちばかりが先行すると選択すべきときでもなかなか決めることができなくなります。

 また、だまされないための対策を・・・と考えて実行したものの、対策を身につけるための費用や時間が必要以上にかかってしまうこともあります。

 「たまには誰でもだまされる」くらいの姿勢を持っておくことで実行力を落としすぎず、情報を疑うこともできるようになります。

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