科学的根拠で子育てをする方法2
前回から科学的根拠に基づく教育について学習しています。それではまず前回内容の確認からスタートしていきたいと思います。
1 これからの教育は( )的な成果に影響を与えることが意味を持つようになっていきます。
2 子どもの頃にやっておくとよいものとして、スポーツ、リーダーになる、( )能力を高めることがあげられます。
3 難しい問題に出会い、間違えたとしても( )力を持っていることで再度チャレンジできるようになります。
回答例
1 長期 2 非認知 3 やり抜く
いかがでしたでしょうか?
それでは引き続き、中室牧子さんの『科学的根拠で子育て』で教育経済学について学んでいきたいと思います。
子育ての時間は長い方がよいのか?
子育てにかける時間は長い方がよいのでしょうか?
親が子どもにかける時間があることによって、それが勉強なのか、何かを体験することなのかにかかわらず、子どもの認知能力や非認知能力を高めることがわかっています。
また、子どもに対して時間をかけるのは、年齢が小さいときの方が効果が大きいということもわかっています。
もちろん、子ども年齢が大きくなると意味がないということはなく、子どもの年齢がある程度大きくなってからでも、一緒に活動をするなどの体験が非認知能力へ良い影響を与えるという結果も得られています。
ただ、一緒に活動をするといっても、「一緒にテレビを見る」などの受動的な活動であるのか、「本の読み聞かせをする」のような能動的な活動かによっても影響が変わってきます。
実験によると、能動的な活動の方が全体的に効果は高いようです。ただ、受動的であれ能動的であれ、年齢が上がってくると影響は小さくなっていきます。
祖父母との同居の影響
昔と比べると、祖父母と同居するということが減ってきています。祖父母と同居することによる、教育への影響はあるのでしょうか?
・コミュニケーション力が上がる
・学力が高い傾向が見られる
親が働いている間に祖父母の助けを借りることができると、子どもからすると「関わる時間が増える」ということになります。
すると、語彙力に良い影響があり、コミュニケーション力や学力が高まることにつながるのではないかと考えられています。
ただ、語彙力以外の面であれば、保育園や幼稚園で過ごしている方が有利になることもあるようです。
ちなみに、祖父母が孫の世話をすることは、祖父母の言語力を高め、記憶力の低下を遅らせることにつながり、認知機能を改善させることになります。祖父母が孫の面倒をみるということは、どちらにも良い効果があるということです。
勉強が苦にならないようにする方法
勉強がなるべく苦にならない方法はあるのでしょうか?ポイントとして3つあげられることは
1 目標をたてる
2 習慣化をする
3 チームで取り組む
この3つになります。それぞれみていきたいと思います。
1 目標をたてる
子どもでも大人でも「学ぶことで将来に得をする」よりも「今は学習をせずに楽をする」ということを過剰に評価してしまいます。これを「現在バイアス」といいます。
この「現在バイアス」によって、先延ばしをしてしまうことで、色々なことに悪影響があると想像できるのではないでしょうか。
そのため、「目標」をたてることが重要になります。「目標」をたてることによって、少しでも先延ばしをふせぐことにつながります。
目標を立てるときのポイントは3つあります。
①インプットに目標を設定する
たとえば「1時間勉強する」や「問題を10題解く」などのような目標です。
反対のアウトプットに対する目標というのは「80点をとる」というような結果を目標にすることです。
この場合、インプットによる目標を立てた方が成果が現れました。
アウトプットについては、自分の力で調整できない部分がありますが、インプットについては自分次第であることが影響していると考えられます。
②自分で目標を設定する
目標は、ある程度達成可能な目標を自分で設定することが大切です。他人に設定されたとても達成できないような目標は、気力を下げてしまうことにつながり、あまり効果がでなくなるようです。
③自己管理について学ぶ
目標を立てる前に自己管理の方法を学ぶことで、より効果的になることがわかっています。
このようにして、実際に目標を達成することができると「自分には目標を達成するために努力できる力がある」と感じることができるようになり、さらに高い目標へと向かっていくことができるようになります。
2 習慣化する
最初はなかなか抵抗があったことでも、習慣になると自然と続けることができるようになります。
習慣化のための2つのポイントは
①最初の壁をなるべく低くし、とりかかるきっかけを作る
②繰り返す
この2つになります。
なるべく簡単なところからスタートして、繰り返すことによって、習慣を作ることができるようになります。
3 チームで取り組む
チームで取り組むことにより、様々な良い効果があります。
・個人の成果から、チームの成果による報酬に変えることで生産性が高くなった
・チーム内で、各自が得意なことに特化することでお互いを補完しあうことができた
チームを作るときのポイントは
「チームを組む相手が知り合いである」ということです。お互いが知り合いでなければ、社会的なプレッシャーがかからないため、効果が弱いのではないかと考えられます。
親が子のことを知っていることで成績アップ
親:「宿題やったの?」
子:「もう終わったよ」
このやりとりが実は「ウソだった」ということがあります。このようなときに、親が子どもの本当の姿をつかめていない方が、子どもの学力が低い傾向がみられました。
そこで、次のような実験が行われました。
・月に数回、親へ「子どもが未提出だった宿題の状況」について連絡が届く場合と、届かない場合
情報が届く親の方が、子どもの宿題について確認する回数が増加しました。
これらにより学校の成績に良い影響があったことがわかっています。
学校と親とのあいだのコミュニケーションが改善されることで、子どもたちへの良い影響があると言えそうです。
