科学的根拠で子育てをする方法3
引き続き、中室牧子さんの『科学的根拠で子育て』で教育経済学について学んでいきたいと思います。
その前に、復習をしておきたいと思います。
1 親が子どもにかける時間が( )い方が、認知能力や非認知能力に良い影響を与えることが多いです。
2 勉強が苦にならないための方法として、①目標を立てる ②習慣化する ③( )で取り組む ということが大切になります。
3 目標は、( )可能な目標を自分で立てることが大切です。
4 習慣化のためには、なるべく簡単なところからスタートして、( )すことが必要です。
回答例
1 長 2 チーム 3 達成 4 繰り返
いかがでしたでしょうか?
それでは今回もスタートしていきます。
学校を選ぶときのヒント1
「この学校の偏差値は○○です」という話を聞いたことがあるかもしれません。偏差値が高い学校に入ることの注意点はあるのでしょうか?
偏差値が高い学校には、学力的に優秀な生徒が集まることが多くなります。優秀な生徒との交流があることで自分自身も優秀になることができる・・・ということもありますが、実は逆になるパターンがあります。
以下のようなチームに分けて、学力がどのように変化するかという実験を行いました
1 成績上位者と成績下位者のグループ
2 成績が平均的なグループ
3 ランダムに選んだグループ
このようにグループを分けた場合、グループの学力はどのような変化をするのでしょうか?
一番成績が上昇したのは「2」のグループでした。
「1」のグループでは、成績下位者の成績はさらに落ち込む結果となりました。
人は共通点がある人との交流が増えます。そのため、お互いに多くのことを学ぶことができ、成績の向上がつながったと考えられます。
学校を選ぶときのヒント2
2人の生徒、AさんとBさんがいたとします。2人とも同じ第一志望の学校にはギリギリ合格できるかどうかというラインでした。
そして、いよいよ受験をむかえます。
Aさんはそのまま第一志望の学校を受験し、ギリギリですが合格することができました。Bさんは第一志望の学校はあきらめ、第二志望の学校を受験して余裕を持って合格することができました。
学校に入ってからの成績はAさんは学校内で最下位グループでした。Bさんは学校内で上位グループでした。
その結果、最終的な進学に有利であったのは、第二志望の学校で上位グループにいたBさんでした。
これは「井の中の蛙効果」というものが影響しています。人は身近な人と比較して自分の能力を判断するため、評価を誤っていることがあります。
小学校の全国テストで同じ点数であったCさんとDさんがいたとします。Cさんは自分の所属する学校では成績上位でした。Dさんは自分の所属する学校で成績が下位でした。
このような場合、「自分の学校では」成績上位であったCさんの方が中学での成績が良くなる傾向がみられました。全国テストの結果が同じであれば、中学に入ってからも同じような成績にならず、小学校のときに「自分はできる」と思って過ごしていた人の方が成績が良くなる結果になりました。
順位を知ることはよくない?
順位がわかるから「自分はできる」や「自分はできない」と考えるようになるとするのであれば、順位がわからないようにすればよいのではないでしょうか?
「周囲と比較して自分がどのような位置にいるのか?」がわかることによって、競争心が刺激されてやる気が出る人もいます。学生に対して、成績を知らせることによって全体の平均的な学力が高くなるという実験結果もでています。
そして、順位がわかることで、自分の成績をあげるための「努力の量」がわかるようになります。相当な努力をしなければいけないという状況であれば、あきらめてやる気を失ってしまうこともあります。一方で、努力すれば成績をあげられそうだと感じられるとやる気が上がることにつながります。
つまり、似た成績の人が集まっている状態で、成績を意識することで『努力すれば成績が上げられそうだ』と感じてやる気があがるということにつながります。
また、成績は「前回と比べてどの程度のびたのか?」を知らせることで、その後の平均的な学力が高まるという結果も見られます。
他にも効果的な成績の伝え方として
・テストの後、間をおかずにすぐに結果を知らせる
・子どもだけではなく、親に対して、順位と家庭でできるサポートについて知らせる
このような伝え方をすることで成績が上昇しました。
順位の伝え方が変わるだけで効果も変わってくるということです。
別学と共学
志望校を選ぶときに「共学」・「女子校」・「男子校」などの選択肢があります。難関大学の合格者ランキングをみていると、上位にくるのは「男子校」や「女子校」のような「別学」の学校が多くなっています。
このような結果からみると「別学」が学力に影響を与えそうです。しかし、これに関しては疑問点もあります。もしかすると、元々学力的に優秀な生徒が「別学」に入学しているだけという可能性があるからです。
「別学」と「共学」がどのように学力に影響を与えるのか、これについては完全にくじびきで自分のいく学校が決まる地域での研究によっていくつかのことが明らかになりました。
1 男子校の男子と共学の男子では、男子校の男子の方が数学の成績が良い傾向がみられた
2 女子校の生徒は「男性の方が女性より数学が得意だ」のようなステレオタイプによる影響を受けにくく、理系科目の成績が高くなる傾向がみられた
このように「別学」「共学」どちらの方が良いということは言いきることができませんが、「別学」にすることによる影響はありそうだということがわかります。
