下流ではなく、上流での問題解決2

 前回から、「どのようにして問題を起こさないようにするか?」という点について学んでいます。それでは復習からスタートしていきたいと思います。

1 問題によりよく対処できるようにするよりも、問題を(  )ようにすることが必要です。

2 人々は、まだ起きていない、これから起きそうな問題に対しては(  )と感じる傾向があります。

3 当事者意識を持つためには、(  )が自分にあるとして考えるようにすることが効果的です。

4 人はたくさんの問題を見ると、(  )できないと感じるようになります。

5 起きていることが見えにくい問題に対しては、問題に(  )ることが効果的です。

回答例

1 起こさない  2 対処できない  3 全責任  4 解決  5 名前をつけ

いかがでしたでしょうか?それでは、引き続きダン・ヒースさんの『上流思考「問題が起こる前に解決する新しい問題解決の思考法」』で問題防止についてみていきたいと思います。

上流思考のリーダーになる

 上流で問題を起こさないようにしていくためには、1人では対処できません。

 問題は様々な原因で起きています。そのため、解決するには、様々な分野の人が、「この問題を解決する」という共通目標を持って集まる必要があります。

集まったメンバーをまとめるには?

 多くのメンバーが集まったときには、メンバーをまとめる必要があります。メンバーをまとめるため必要なものにはどのようなものがあるでしょうか?

・共通の目的

 目的を共有する必要があります。目的が共有されていなければ、個人がバラバラに活動することになります。

・一人一人に役割を与える

 集まったメンバー、一人一人に明確な役割がある状態にします。こうすることで、自分が何をすべきか考えて行動できるようになります。

解決のためのデータ収集

 活動を行ったときに、実際に効果があったのかどうかを判断するために必要になるものがデータです。

 データをみて「何が起きているのか」と考えるだけではなく、データを「問題を解決するために使用する」必要があります。

 「今起きている問題を解決にむかっているか調べるためには、○○というデータが必要だ。だから○○というデータを集計しよう」という考え方が大切になります。

 たとえば、国語・算数・理科・社会・英語の点数を集計したとします。

 各科目100点満点中 

 国語:80点  数学:10点  理科:80点  社会:90点  英語:70点

 このようになったとすると「数学の学習がうまくいっていない」と考えます。

 これが、データをみて、何が起きているのかを考えるパターンです。

 一方で、データを「問題を解決するために使用する」場合は

1 数学の学習がうまくいっていない。

2 数学がうまくいっていない問題を解決するためにはどのようなデータが必要か?

3 宿題の提出率、小テストの点数、今回のテストでできていなかった問題の分野がそれぞれわかるとよいのではないか?

  →「宿題の提出率」のデータを集める。毎回の小テストの点数データを集める。今回のテストの分野ごとの点数データを集める。

 このようにすることで、データを活用することができます。

システムを変えて成果を出す

 システムがうまく設計されていれば、良い状況になる確率が高くなります。問題が発生するということは、システムがうまくいっていない可能性があるということになります。

 「多くの問題が発生して、数々の問題を乗り越え、すばらしい成果を残しました!」というのは物語としては素敵です。しかし、実際にはここからさらに一歩進んで、すばらしい成果が当たり前のようになるシステムを作ることが必要になります。

問題の中心はどこにある?

 では、システムを変えていくためにはどうすればよいのでしょうか?

 システムを変えるためには、まず「問題の中心」を探すことから始めます。

 問題の中心を探すためには、「問題を方程式」にしてみると見えやすくなります。

 「数学の点数が上がらない」という問題の中心を考えてみたいと思います

 「予習」+「授業」+「復習」+「宿題」+「小テスト」+「小テスト結果をみて復習」=「テスト結果」

 たとえば、このように表してみたとします。この中で、どこを変えることが成果につながるか考えてみます。

 そして、変える場所を決めたら、達成できそうな介入方法を考えて実行します。

 

有効な視点を探す

 問題の中心が見えてきた場合、次に考えることは

1 問題が起きる原因

 問題が発生するリスクを高める要因は何か?

2 問題を防ぐ方法

 問題が発生するリスクを下げる要因は何か?

この2つになります。

問題が発生するリスクを高める理由がわかれば、理由となるものを遠ざけることが必要になります。

たとえば、「授業を集中して受けられていない」という問題があったとします。授業に集中できない要因には何があるでしょうか?

・眠くて寝てしまった

・別の悩みについて考えてしまう

などが考えられます。 

 この場合、それぞれの対策を考えてみると

・眠くて寝てしまう → 夜の睡眠時間が足りていない可能性があるので、寝る時間を早める

・別の悩みについて考えてしまう → 一度、悩みを紙に書き出すなどして頭の外に問題を出してみる

問題が発生するリスクを高める要因がわかれば、リスクを高める行動を減らしていくようにします。

さらに、問題の発生を減らす要因がわかれば、その要因を増やすようにしていきます。

 たとえば、「復習ができるのは、寝る前に時間があるときだ」とわかったとします。そうすると、復習ができないというリスクを下げるためには「寝る前に時間をとる」ことができればよいはずです。

・寝る前に時間がないときは?

 →SNSの時間が長い。マンガを見る時間が長い。テレビの時間が・・・

 

 時間がなくなる理由を考え、その行動を減らしていきます。すると、「寝る前に時間がある」という復習ができる要因が増えることになります。

このように、問題発生のリスクを下げる要因がなるべく多く出てくるようにすればよいということになります。

このようにして、システムを変更していくことで、問題の発生を少なくしていくことができます。

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