自己認識攻略法5
それでは今回も、ターシャ・ユーリックさんの『インサイト』で自己認識について学んでいきたいと思います。
内的自己認識を高める
これまで自己認識をジャマする存在や、自己認識に関する勘違いなどをみていきました。
それでは、実際に自己認識をする力を高める方法にはどのようなものがあるのでしょうか?
まずは内的自己認識、「自分を明確に理解する力」についてです。
その方法の1つが「マインドフルネス」です。マインドフルネスは反応したり、判断することなく、自分の感情や行動に「気づく」というものです。
マインドフルネスというと、目をとじて、静かに呼吸に意識を集中させるなどの「瞑想」を思い浮かべるかもしれません。瞑想はマインドフルネスの手段として優れているものですが、唯一の方法ということではありません。
マインドフルネスはもう少し広く「今の考え方に気が付き、これまでの考え方を手放し、新しい見方をもとにして行動するプロセス」と捉えることができます。
常に意識は拡散している状態
現在では、色々なところに意識がむいていることが多い状態です。何をしていても頭の中では違うことを考えているということもよくあることです。
特にインターネット上でのゲームや、SNSからの情報が入るたびに集中がとぎれているということも度々あります。
このような「マインドレス」の状態では、自分の行動や感情に目をむけることが少なくなり、自分をコントロールしている感覚が低くなって幸福度が低下するという傾向がみられるようになります。
そこで、マインドフルネスを実行することで、自分をコントロールしているという感覚が生まれていきます。これによりまわりからの反応に対しても気持ちよく受け入れることができるようになります。つまり、「外的自己認識」、周囲から自分はどう見られているかという点においても効果があります。
瞑想以外にもある!マインドフルネスの方法
さきほどもあったように「マインドフルネス=瞑想」というイメージがあることが多いですが、マインドフルネスは自分の感覚に注意を向けるということで効果を発揮します。
そのため、ウォーキングやランニング、ストレッチなど日常的な行動に関してもマインドフルネスを行うことができます。短い時間であっても、自分の思考や感情にふれ、静かな時間をすごすことで効果があるということです。
マインドフルネスにおいて重要であるのは、自分自身と世界を新たな形で見ることができるようにすることです。そのため、心に目をむけるだけではなく、積極的に新しい気づきを得ようとすることが大切になっていきます。
マインドフルネスとリラクゼーションは別のもの
注意が必要であるのは「マインドフルネス」と「リラクゼーション」は別のものであるということです。
たとえば、同じようにストレッチをするとした場合に
・ストレッチをしながら友人と会話を楽しむように言われたグループ
・ストレッチをして自分の感覚や感情に集中するように言われたグループ(こちらがマインドフルネスのグループ)
このような2つのグループに分かれました。
すると、マインドフルネスのグループの方がよりストレスをコントロールできるようになっていました。また、数ヶ月後に調査したストレス値も、マインドフルネスのグループは低下している状態になっていました。
新しい気づきを得る方法
マインドフルネスの習慣が身に付くと、自己認識を高めることができるようになっていきます。
その一つの方法が「リフレーミング」です。
「リフレーミング」とは、自分の状況やふるまいなどを新たな角度でみるということです。
良いことでも悪いことでも、複数の角度から見ることで自己認識を高めることにつながります。
たとえば、難しい状況にいるときには「どのようなチャンスを見出すことができるか?」と自分に問いかけてみることで新たな視点を得ることができます。
逆にものごとがうまくいっているときには「潜在的なリスクにはどのようなものがあるか?」と問いかけることで、さらに違う視点で見ることができるようになります。
自分の体験をより客観的にリフレーミングすることで自己認識を高めることができるようになります。
比較と対比
瞑想以外のマインドフルネスの方法として「比較と対比」というものがあります。
これまでの自分の経験、思考、感情、行動のなかで共通している点や異なる点に注目します。これにより、過去には気がつかなかったパターンを見つけることにつながります。
マインドフルネスは「今」に集中するものであるという認識があるため、過去を振り返るということが役に立つのか?という疑問が生まれるかもしれません。
実は、過去の経験と「今、起きていること」を比較することで、現在に対する新たな視点を持つことにつながります。
日々のチェック
日々色々なことを経験していても、なかなか学ぶことができない・・・ということがあります。経験から学ぶことができない理由としては、日常生活の中で気が散るということが多い中、自分自身について振り返るという時間をとることが難しいからです。
もし、自分自身について考えるのであれば、今日やった失敗を責めたり、過去の後悔を頭の中で繰り返すのではなく、「自分で下した選択を振り返り、パターンを検討して、うまくいった点といかなかった点を観察する」ということに時間を使うことが効果的です。
自分自身に
・今日は何がうまくいった?
・今日は何がうまくいかなかった?
・何を学ぶことができた?
このように問いかけることで、少しずつ自己認識を高めることにつながります。
