ストーリーの秘話

 自分の考えていることを伝えたい・・・と思っていても伝わっている気がしない・・・

 あらゆるデータを使って説得しても、何か相手が納得しているような気がしない・・・

 そのようなときに活躍するものが「ストーリー」です。「ストーリー」を使用することで、相手が納得して、やる気を出すことにつながります。

 では、どのようにすれば「ストーリー」を活用できるのかについて、アネット・シモンズさんの『プロフェッショナルは「ストーリー」で伝える』で学んでいきたいと思います。

信頼を築くためのリーダーシップ:自己開示と影響力の本質

 現代の社会では、リーダーシップは単なる地位や権限ではなく、他者との信頼関係を築き、影響を与える能力が求められます。

 特に、チームを率いるリーダーや組織のトップに立つ人々は、相手に自分がどういう人間であるかを理解させ、まるで直接知っているかのように感じさせることで、高い信頼を獲得できます。

 では、信頼を築くリーダーシップとは具体的にどのようなものなのでしょうか?


自己開示による信頼の構築

 人は誰しも完璧ではありません。むしろ、欠点や過去の失敗を持っているからこそ、共感を生み、信頼を築くことができます。リーダーが自分の欠点や過去の経験についてオープンに語ることを「自己開示」と呼びます。

自己開示には以下のようなメリットがあります。

親近感を生む

 リーダーが完璧すぎると、部下や仲間は「自分とは違う存在」と感じてしまいます。自分も過去に失敗し、それを乗り越えてきたことを伝えることで、相手は安心感を持ち、共感しやすくなります。

正直さが伝わる

 自己開示をすることで、「この人は誠実で隠し事をしない人だ」と認識されます。これは長期的な信頼構築において極めて重要です。

相手の自己開示を促す

 リーダーが率先して自分の話をすると、相手も心を開きやすくなります。結果的に、より強固な関係が築かれます。

 たとえば、ある企業の経営者が「私はかつて、大きなプロジェクトを任されたが、準備不足で失敗してしまった。しかし、その経験から学び、次のプロジェクトでは事前のリサーチを徹底し、成功を収めることができた」と語ったとします。このようなストーリーは、聞き手にリアルな学びを提供し、リーダーに対する信頼感を強めるのです。


相手の視点を考えたコミュニケーション

 多くの人は「自分にとってどんなメリットがあるのか?」と考えています。そのため、リーダーが何かを伝える際には、単に「私が何を求めているのか」だけではなく、「あなたにとってどんな恩恵があるのか」を明確にすることが重要です。

相手に響く伝え方のポイント

相手の動機を考える

 人は相手の動機が不明確な場合、不信感を抱きやすいものです。「なぜこの人はこの話をしているのか?」という疑問を持たれないよう、自分の意図を明確に伝えましょう。

自分の利益だけではなく、相手の利益も考える

 一方的に「これをやってほしい」と頼むのではなく、「これをやることで、あなたにとってもこんなメリットがあります」と説明することで、相手の納得感が増します。

相手が損をしないことを伝える

 人は「自分にとって悪い影響があるかどうか」を気にします。そのため、「この決定はあなたに悪影響を与えない」と明確に説明することも重要です。

 例えば、リーダーが部下に新しい業務プロセスを導入したい場合、「これは会社の利益になるからやるべきだ」と言うのではなく、「このプロセスを導入すると、あなたの仕事の負担が減り、よりスムーズに作業ができる」と伝えたほうが、相手にとって納得感が増します。


影響力を高めるために必要な要素

 影響力を持つためには、単に正しいことを言うだけでは不十分です。相手に敬意を払い、感情に訴えるストーリーを伝えることが大切です。

1 相手への敬意を持つ

 人は、自分を尊重してくれる相手に対して心を開きます。逆に、上から目線で指示を出したり、相手を軽視する態度をとると、信頼は一気に失われます。

2 感情を動かすストーリーを語る

 人は単なる事実やデータよりも、「ストーリー」によって心を動かされます。たとえば、売上が10%増えたという事実だけを伝えるのではなく、その背景にある努力や苦労を語ることで、相手の共感を得ることができます。

3 具体的な行動を促す

 スキルや知識を教える際には、「何をするべきか」だけでなく、「どのように行動すればよいか」を示すことが重要です。

 例えば、「お客様のニーズを理解しなさい」という指示だけではなく、「まず、お客様の話を最後まで聞き、質問を通じてニーズを引き出す」という具体的な方法を伝えると、相手も実践しやすくなります。


信頼と影響力を高めるリーダーシップ

 リーダーとしての影響力を高めるためには、単に知識やスキルを持つだけでは不十分です。相手の視点に立ち、自己開示を通じて信頼を築き、感情に訴えるストーリーを語ることが大切です。

 信頼関係がしっかり築かれたリーダーは、指示を出すだけでなく、相手に自発的に行動を促すことができます。結果として、組織全体のモチベーションが向上し、より強固なチームが生まれるのです。

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