ストーリーの秘話6

ストーリーを語る

 私たちは日々、さまざまな形でストーリーを語っています。友人との会話、仕事のプレゼンテーション、SNSでの投稿など、どんな場面でもストーリーテリングは重要な役割を果たします。優れたストーリーテリングは、相手の共感を呼び、感情を動かし、行動を促す力を持っています。

 では、効果的なストーリーテリングを行うにはどうすればいいのでしょうか?

 今回もアネット・シモンズさんの『プロフェッショナルは「ストーリー」で伝える』で、ストーリーテラーが心がけるべきことについて学んでいきたいと思います。

1. 相手を尊重する

 ストーリーを語るときに最も大切なのは、聞き手を尊重することです。もし、自分が相手より優れているという態度で話してしまうと、その気持ちは相手に伝わり、反発を招くことになります。

 例えば、ライフスタイルの改善を提案する場合、「あなたは間違っている」と指摘するのではなく、「私も以前は同じことで悩んでいた」と共感を示す方が、相手は素直に受け入れやすくなります。自己啓発本やモチベーションスピーチの多くが「過去の失敗談」から始まるのは、聞き手との共感を生むためです。

 また、相手がどんな価値観を持ち、どのような経験をしているのかを理解することも重要です。相手の視点に立ち、共感を示しながらストーリーを語ることで、信頼関係が築かれ、メッセージがより強く響くようになります。

2. 退屈させない

 どんなに素晴らしいメッセージを持っていても、それを伝える方法が単調だったり、長すぎたりすると、聞き手は途中で飽きてしまいます。ストーリーを効果的に伝えるためには、以下のポイントを意識しましょう。

具体的に話す

 抽象的な話よりも、具体的なエピソードを交えた方が相手の心に残ります。

 例えば、「健康に気をつけることが大切」と言うよりも、「毎日15分のウォーキングを続けたら、体調が良くなり、仕事の集中力も上がった」と伝えた方が、聞き手はイメージしやすくなります。

楽しい雰囲気を作る

 ストーリーの伝え方次第で、聞き手の感情は大きく変わります。罪悪感や恐怖を煽るのではなく、前向きな感情を引き出すことが大切です。

 例えば、環境問題について話すときに、「このままだと地球が滅びる」と脅かすよりも、「みんなで持続可能な未来を作ろう」とポジティブに語る方が、聞き手の意欲を引き出せます。

話を一度止める

 時には、ストーリーの途中で一旦話を止め、相手に考える時間を与えることも効果的です。例えば、「ここでちょっと考えてみてください」と問いかけることで、聞き手はより深く話に入り込むことができます。

3. 影響を与えるストーリーを語る

 優れたストーリーは、人の心を動かし、行動を促します。まずは、自分がそのストーリーを信じていることが必要になります。そのためには、「どうすれば信じてもらえるか?」ではなく、「どうすれば自分が信じられるか?」を考えることが重要です。

 最も影響を与えるのは、「良いストーリー」ではなく「記憶に残るストーリー」です。例えば、スティーブ・ジョブズのスピーチやネルソン・マンデラの演説は、単なる事実の羅列ではなく、感情を揺さぶるエピソードが盛り込まれています。

 では、どうすれば記憶に残るストーリーを作れるのでしょうか?

1. パターンを見つける

 ストーリーには共通するパターンがあります。「失敗して落ち込んだが、再挑戦して成功した」や、「最初は理解されなかったが、努力を続けた結果、多くの人に支持された」といったパターンがあります。

 同じように、自分の感情にもパターンがあります。どのようなことが起きたときに、どのような感情になっているかというパターンを見つけることで感情を動かすパターンが見えてきます。

 

2. 因果関係を整理する

「どのような選択が、どのような結果につながるのか」を明確にすることで、ストーリーに説得力が生まれます。

例えば、「毎日少しずつ努力を続けた結果、大きな成功を手に入れた」といった形で、行動と結果を結びつけると、聞き手も納得しやすくなります。

3. 教訓を明確にする

 ストーリーを通じて、どのような学びを得たのかを伝えることで、聞き手はより深く共感し、自分の人生にも応用しようと考えます。

例えば、「一度の失敗で諦めるのではなく、改善を重ねることで成功に近づく」という教訓を明確に伝えると、聞き手にとって有益な情報となります。

4. 有益なストーリーを作る

 自分を変えたストーリーを基に、新しいストーリーを作り出すことで、他の人の役に立つメッセージを生み出せます。

5. 理想を描く

「こうなったらいいのに」という理想をストーリーに組み込むことで、聞き手の想像力を刺激し、夢や目標に向かうモチベーションを高めることができます。

ストーリーで考え、ストーリーを語る

 人を動かすストーリーを語るには、まず相手の話を聞くことが大切です。相手の経験や価値観を理解し、共感を示しながら、自分のストーリーを語ることで、信頼関係を築くことができます。

 歴史上の偉大なリーダーたちは、多くの人の話を聞き、その思いを理解した上で、自らのメッセージを発信してきました。それが結果的に、多くの人々の心を動かし、大きな変化を生み出したのです。

 あなたのストーリーも、誰かの人生を変える力を持っています。相手を尊重し、具体的で心に残るストーリーを語ることで、聞き手の心を動かすことにつながります。

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