自分を変える勇気を手に入れる方法3
今回も引き続き、トム・ケリーさん、デイヴィッド・ケリーさんの『クリエイティブ・マインドセット 創造力・好奇心・勇気が目覚める驚異の思考法』で「創造力」を高める方法についてみていきたいと思います。
共感から生まれる人間中心デザインの力
創造性という言葉には、不思議な魅力があります。芸術家だけの専売特許のように思われがちですが、実はビジネスの現場でも日常生活でも、その力は大いに役立ちます。
特に「人間を中心としたデザイン」を実現するためには、創造性を育てることが不可欠です。そして、その出発点にあるのが「エンドユーザーへの共感」です。
創造的になると決意する
創造性を高めるには、まず「自分は創造的になれる」と決意することが重要です。
多くの人が「自分にはクリエイティブな才能がない」と思い込んでいますが、創造性は才能というよりもスキルに近いもの。
日々の実践や思考の習慣によって磨くことができます。第一歩として、自分の中の固定観念を取り払い、変化を楽しむ姿勢を持ちましょう。
新しい視点で世界を見る
日常はあまりにも当たり前すぎて、私たちは多くのことを「見逃し」ています。
しかし、創造的なアイデアは、そうした見慣れた風景の中にこそ隠れています。たとえば、いつも使っている電車の中、コンビニのレジ前、友人との何気ない会話。それらを「別の視点」で眺めてみることで、問題や可能性に気づくことがあります。
世界を新鮮な目で見る。それだけでも、創造性のスイッチは入ります。
リラックスすることでアイデアが湧く
創造性は、詰め込みやプレッシャーの中では育ちにくいものです。
脳が緊張しているとき、私たちは過去の経験やパターンに頼りがちになります。
新しいアイデアを生み出すには、むしろ「脱力」することが効果的です。散歩をする、音楽を聴く、あるいは何も考えずに空を眺める――そうしたリラックスの中で、思わぬ発想が浮かんでくることがあります。
共感することで本当のニーズが見えてくる
人間中心のデザインは、ユーザーの「声」を聞くことから始まります。とはいえ、ただ話を聞くだけでは足りません。
大切なのは、その人の立場に立って、感情や背景ごと理解しようとする「共感」です。
たとえば、ある製品を使っているときの苛立ちや喜び、無意識の行動など、言葉にならない部分にこそ、真のニーズが隠れていることが多いのです。
現地に足を運び、目で確かめる
リサーチは机の上だけで終わらせてはいけません。現場に足を運び、ユーザーの生活や行動を自分の目で見ることが大切です。
実際に観察してみると、「どうしてこんな非効率なことをしているのか?」と思える行動の裏に、合理的な理由や文化的な背景があることに気づきます。
観察によって得られる「生きた情報」は、創造的な解決策の糸口となります。
「なぜ」を繰り返して本質を探る
ある問題が発生したとき、表面的な解決に終始するのではなく、根本的な原因を探ることが重要です。
ここで有効なのが、「なぜ?」を5回繰り返すという手法です。
たとえば、「売上が下がっている」という問題に対し、「なぜ顧客が減ったのか?」「なぜそのサービスが選ばれなくなったのか?」と問い続けることで、単なる数字の変化の奥にある、人間的な理由が見えてくることがあります。
問題の枠組みを変えると、解決策も変わる
私たちは、無意識のうちに問題を一定の「枠」に当てはめて考えがちです。
しかし、ときにはその枠組みそのものを見直すことが必要です。たとえば、「高齢者向けのスマホは操作が難しい」という課題に対して、「操作を簡単にする」という解決だけでなく、「そもそもスマホという形にこだわらない」発想も生まれるかもしれません。
問題に人間味を与え、「誰が」「なぜ」それに困っているのかを再定義することで、新たな道が開けます。
仲間とぶつけあうことで、アイデアが磨かれる
創造性は、孤独の中でも育ちますが、集団の中ではさらに飛躍します。
信頼できる仲間とアイデアをぶつけあうことで、自分一人では気づけなかった視点に出会えます。
また、他人の意見を聞くことで、思い込みから解放され、自分の発想に厚みが出てきます。
ブレインストーミングの場では、「まず量を出す」ことが重要です。質を問わずに自由に意見を出し合い、その中から磨かれたアイデアが生まれるのです。
情報に基づく直感を信じる
創造的な判断には、しばしば「直感」が使われますが、それが有効に働くのは「最新の正確な情報」に裏打ちされているときだけです。
逆に、過去の成功体験や古い知識に頼ると、誤った判断につながるリスクがあります。情報をアップデートしつつ、それをベースにした直感的なひらめきを大切にしましょう。
極端なユーザーにヒントがある
「特異なニーズ」は、ときに市場全体の未来を予言します。
極端なユーザーの行動や要求には、誰もがまだ気づいていない潜在的なニーズが隠れていることがあります。
あえて「普通ではない」人に注目してみるのも、創造性を刺激する一つの方法です。
創造性は日常の中にある
創造性を伸ばすために、特別な才能や設備は必要ありません。
必要なのは、「見る目」と「感じる心」、そして「問いを立てる力」です。
日常を新しい目で見つめ、人と深く関わり、自分自身の中にある思い込みを柔らかく壊していく。
そんな積み重ねが、確かな創造力へとつながっていきます。
あなたの中にも、きっとすでに創造のための力が備わっています。
