やってはいけない権力者の選び方3

 前回は、権力が腐敗しているように見える理由と、権力が実際に腐敗しているといえる理由についてみていきました。

 前回の内容を確認してみます。

1 権力者が腐敗しているように見える理由として(  )の機会が多いということがあります。

2 権力者が腐敗しているように見える理由として、一般人に比べて(  )ているためということがあります。

3  「低権力」「中権力」「高権力」「独裁」というレベルに分類し、お金を分け与えるという実験をしたときに、権力のレベルが高いほどお金を分ける金額が(  )傾向があった。

回答例

1 選択  2 見られ  3 減る

このような権力の腐敗を防ぐ方法はあるのでしょうか?

 それでは引き続き、ブライアン・クラースさんの「なぜ悪人が上に立つのか」で権力について学んでいきたいと思います。

権力の腐敗を防ぐには?

1 腐敗しない人を勧誘する

 新しい決定をする場合であっても、今までのものを元にして決定されることが多いです。

 この傾向のため、これまでに起きていた問題点はそのまま残ってしまうことが多くなります。

 そこで、問題が残らないようにするためには

・選ぶ基準を変更する

 これまでの基準で、腐敗する人が権力をにぎっていた場合、基準を変更しなければ同じような人が集まってきてしまいます。

・前例をつくる

 たとえば、一度女性のリーダーが就任した地域は、今後女性がリーダーにつこうとする確率が高くなります。

 そこで一度、理想とする人物が就任することで、それ以降、同じような理想に近い人物がリーダーを目指すようになっていきます。

2 監視する

 権力を求める人が選挙で「勝った」場合は、傲慢な行動に出る可能性が高くなる傾向があります。

 そこで、その権力者を監視するために「ランダムで選んだメンバー」が意見を出すようにします。

 ランダムで選ばれた人は、「偶然得た」権力を持つことになります。このような「偶然の権力」を持った人はあまり傲慢にならない傾向がみられます。

 このような傲慢にならない人たちによる意見を取り入れることで、権力者が腐敗することを防ぐことにつながります。

3 異動させる

 汚職が起きやすいのはどのような時でしょうか?

・チームが他から独立しており、部外者の目に触れにくい

・チーム内では緊密に協力できる体制

このようなときに不正は起きやすくなります。

 そこで、「人事異動」をして部外者の目に触れるようにすることで、腐敗の可能性を減らすことができます。

4 結果だけではなく、プロセスも監視する

 人は「原因と結果」は一直線にあると考えます。

 うまくいったときは「最初から最後までよかった」、うまくいかなかったときは「最初から最後まで悪かった」と考えます。 

 そのため、「偶然」うまくいった場合でも、すべてが良かったと評価されてしまいます。

 うまくいった場合でも、うまくいかなかった場合でも、プロセスを含めて評価し、「細部まで見られている」という意識を持たせることが大切です。

5 意思決定が与える影響を考えさせる

 意思決定をするときには、自分に身近かどうかが影響を与えます。

 意思決定に影響を与える「心理的距離」には以下のようなものがあります。

・社会的距離:関係性が近い人へマイナスの意思決定はしにくい

・時間的距離:すぐに効果があることは意思決定しにくい

・空間的距離:自分の近くにいる人へマイナスの意思決定はしにくい

・経験的距離:自分がよくない経験をしたことは、意思決定がしにくい

 これらをふまえて、権力者には「決定によって影響を受ける人のこと」を考えさせるようにすると決定への責任を自覚させることができます。

6 「支配する側」を監視する

 通常は「支配されている側」を「支配する」上層部が監視しています。しかし、権力の腐敗を防ぐためには「上層部を監視する」方が必要です。

 上層部が「監視されているかもしれない」と思うことで、行いが正しくなります。上層部の行いが正しくなることで、下層部の行いも正しくなります。

7 監視に「ランダム性」をもたせる

 上層部を監視するにしても、常に監視することは難しいです。そこで「ランダムで」監視するようにします。

 このようにすることで、「もしかすると今、監視されているかもしれない」と感じて行いを正すようになります。

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