脱「幸福になりたい!」
幸福というのはどのようなことをさすのでしょうか?
今回から、ラス・ハリスさんの「幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない」で学んでいきたいと思います。
幸福のワナ
「最終的にはハッピーエンド」というお話はよくあります。
実は、「幸福のワナ」ともいえる、人々が信じやすい話があります。
1 人類にとって「幸福」は自然な状態
→多くの人は自分以外の人は幸福だと信じている。
2 幸福ではないのは、欠陥があるから
→苦痛は弱さだと思われている。
3 良い人生のためにはネガティブ思考は追い払うべき
→良い気分でいることが求められる。
ネガティブを追い払い、ポジティブな気持ちで心を満たすべきと考えられている。
4 自分をコントロールできなければいけない
→思考や感情は自分でコントロールできるようになるべきといわれる。
このように、「幸福になるために、ポジティブに考えよう!」言われています。
しかし、実際には思考や感情などを含めて自分自身をコントロールするというのは非常に難しいのです。
人類の感情コントロール戦略
人は感情をコントロールするために、主に2種類の戦略を使用しています。
1 闘争戦略
よくないと考えたことを、おさえこもうとすることです。
2 逃走戦略
よくないと考えたことから避けたり、遠ざけたりすることです。
これらの戦略は、
・適度に使用され
・自分にとって価値のある行動が妨げられないとき
・うまくいくときだけ使用する
この条件にあてはまると効果がありますが、あてはまらないときは、より悪い結果になってしまうことが多いのです。
それは、嫌な感情というのは、おさえこもうとしたり、追い出そうとしたりすればするほど、また考えてしまうようになるからです。
自分にとって大切だと感じる行動をとることは人生をよくします。
しかし、同じ行動であったとしても「嫌な気分を追い払うために」しているのであれば幸福感や満足感を得ることは難しくなってしまうのです。
では、よくない思考や感情を対処する効果的な方法とはどのようなものなのでしょうか?
6つの原則
感情に対処する方法には6つの原則があります。
1 脱フュージョン
2 拡張
3 接続
4 観察する自己
5 価値の確認
6 目標に向かっての行動
この6つがあります。
思考・イメージ・感覚 それぞれの違いは?
「思考」・「イメージ」・「感覚」それぞれは意味の違いがあります。
思考:頭の中の言葉
イメージ:頭にうかぶ絵
感覚:体の中に起こる感じ
それぞれで対処方法が変わってくるので、この違いは重要になります。
まず、思考についてみていきたいと思います。
思考 × 脱フュージョン
自分の頭の中で「よくない思考」がうかんだとします。このようなときにどうすればよいのでしょうか?
1 「○○だ」 → 「○○だという考えを持っている」と言い換える
普段「私は○○だ」と、考えていることがあると思います。この思考に少し変化を加えて「私は○○だという考えを持っている」という文章にしてみます。
こうすることにより、自分の思考から距離をとってみることができるようになります。
2 自分の思考を「音楽」にする
自分の頭にうかんでいる思考を、身近な曲に合わせて歌ってみます。
少し恥ずかしいかもしれませんが、実際に歌ってみると、思考を深刻に受け取らなくなっていることがわかります。
3 タイトルをつける
頭の中にうかんでいる思考に「タイトル」をつけます。そして、同じ思考をしているときに「また『□□物語』がはじまった」と考えます。
そして、その話が頭の中から過ぎ去っていくまで自然にまかせて待っておくようにします。
これらの中で自分に合う方法を探して取り組んでみることで、よくない思考にとらわれている状態からはなれることができるようになります。
よくない思考からはなれる以外の方法もあります。次の方法は「真剣な思考を弱める」方法です。
4 キャラクターで発声する
よくない思考を、自分の知っているキャラクターの声で再現するようにします。
キャラクターに似合わないセリフを言っているところが面白く感じ、深刻にとらえることを防ぎます。
うまくいかない?
脱フュージョンにおいて、よくある勘違いは「脱フュージョンによって気分が良くなる」と思うことです。
あくまでも脱フュージョンは「思考を受け入れるもの」であって思考を変えるものではないというところに注意が必要です。
思考を受け入れることで、自分にとって価値のある行動にエネルギーを使用することができるようになります。
ですから、何か思考が思い浮かんだときは「この思考は自分にとって価値のあるものか?」とたずねるようにします。もし、価値がないと思うものは脱フュージョンによって深刻にとらえず、受け入れるようにしましょう。
逆に「価値がある」と思った思考については信じて行動するようにしてみましょう。
