こども達への贈り物
子育てには正解というものはありません。しかし、少しでもこども達が幸せだと感じてもらえるようになるためには何ができるのでしょうか?
今回から、ポール・タフさんの『成功する子 失敗する子』で、どのようにこども達と関わっていくとよいのかについて学んでいきたいと思います。
こども時代の逆境が与える影響
「逆境」にも色々とありますが、この場合の逆境は強い心理的なストレスを指しています。
ストレスを受けると、体内でストレスに対応するための防御反応がおきます。
たとえば、大勢の人の前で話をすることになって緊張しているとき、口やのどが乾くことがあります。
これは、緊張によるストレスを感じたことで、生きるために水分の使用を抑える機能がはたらくために起こるそうです。
ストレスをうけて反応が起きると、脳の「前頭前皮質」が特に影響を受けます。
「前頭前皮質」は自分をコントロールする部分にあたります。この部分が影響を受けることにより、自分自身をコントロールすることが難しくなってしまう傾向がみられるようです。
大切な愛情
ストレスとは逆に「愛情」は精神的にも身体的にも良い影響があると分かっています。
「愛情」というと抽象的ですが、もう少し具体的には「こどもの感情に対して敏感に反応すること」になります。
親や周囲の大人が、こどもの感情に対して「敏感に・暖かく・落ち着いて」反応することで、こどもは自立心、自制心、好奇心が高まる傾向がみられたそうです。
楽観主義がチャレンジする気持ちにさせる
大人、こどもに関わらず、良いことや悪いことは起きるものです。
よくないと感じることが起きたときに「自分にとってよいストーリーに書きかえることができる」場合、精神的な落ち込みを減らすことにつながります。
さらに、チャレンジするという思考にもなりやすいことがわかっています。
これは、楽観的に考えている場合
「よくないできごとは、限定的なもので常によくないということはない。だから次はうまくいくようにできるはずだ」
と捉えて、チャレンジをしようという思考になりやすいようです。
IQに影響をあたえたものは?
IQテストを実施し、成果によってお菓子を与えるとテストの結果はどうなるか?という実験が行われました。
その結果、最初におこなわれた結果と比較して、お菓子を与えられたときの方がテスト結果が良くなったという例が見られました。
これは何が原因でテスト結果が良くなったのでしょうか?
お菓子をもらうという行為がテスト結果をよくするということは考えにくそうです。
(もしそうであれば、テスト前に大量のお菓子をかばんにつめこむことで成績が大幅に上がることになります。)
この場合は、お菓子をもらえるのであれば「次のテストをがんばるぞ!」という気持ちがテスト結果をよくしていたと考えられます。
もともと力はあったのですが、がんばって取り組むという気持ちがなかった人が、お菓子をもらうことで「一生懸命」がんばるようになった。これにより結果が良くなったということです。
つまり、単純に「一生懸命さ」によって結果は変わるということです。
日常生活においても「一生懸命」に取り組むかどうかで成果に差が生まれます。
「一生懸命に取り組む力」(勤勉さ)は1つの能力ということになります。
目標設定の3パターン
目標設定にも色々な方法があります。
1 空想をして到達した未来を想像する
2 ゴールまでの障害を考える
3 ゴールまでの障害を考え、のりこえる方法とのりこえた結果について考える
このような3パターンが代表的なものになりますが、うまくいきやすいのは「3」になります。
とくに「もし、○○という障害がおきたら、□□をしよう」という形で考えることで、目標を達成しやすくなるということがわかっています。
教育の目的は?
教育というものが何を目指すべきか?という問いの答えは難しいものかと思います。
基本的に、様々なことを学び、ルールを守って学校生活を送る・・・というものは「失敗をしない」人生を歩むことに重きをおいている教育です。
一方で、失敗をするかどうかのリスクがあることにチャレンジすることで最良の方法を見出そうとする教育は「独創的な成功」を求める人生を歩むことを目指す教育です。
どちらの方が良い悪いということについては答えがでないものになるのではないでしょうか。
