わかっているのに間違えるワケ2

今回も、アン・ウーキョンさんの『イェール大学集中講義 思考の穴』で認知心理学について学んでいきたいと思います。

確証バイアス

 確証バイアスというのは、自分が信じているものの裏付けを得ようとする傾向のことです。人は自分の考えが正しいことを証明する証拠を集めようとするということです。

 裏付けは必要ですが、自分の考えへの「反証」を忘れないということが大切です。

確証バイアスの例

 「ミネラルウォーターを毎日飲むと健康にいい!」という話があったとします。

 この話を聞いた時にどのようなことを考えるでしょうか?

 「そうか!ミネラルウォーターを毎日飲むと健康にいいのであれば、早速今日から飲むことにしよう!」

 と考える人もいるかもしれません。

 確証バイアスから離れるためには、ここで「反証」を考える必要があります。

 「毎日飲むと健康によいのは、ミネラルウォーターだけだろうか?通常の水ではどうだろうか?」

 このように考えることで確証バイアスから離れることができます。

確証バイアスの例2

 「この薬を飲むと体調がよくなるよ!」ときいて、薬を実際に飲んでみました。すると本当に体調がよくなりました。この薬は非常に効果があります!

 さて、この話の落とし穴はどこにあるでしょうか?

 もし「薬を飲んだ4分の3の人の体調がよくなりました」ときくと(飲む価値があるかもしれない)と感じるかもしれません。

 ただ、「薬を飲まなくても体調がよくなった人」の存在を見落としがちです。

 薬を飲んだ人100人中、75人の体調がよくなったとしても、薬を飲まなかった人100人中、75人の体調がよくなっていたとするとどうでしょうか?

 薬に関係なく回復しただけなのでは?と考えることにつながります。

 

 「薬を飲むとよくなる!」ときき、それが正しいと思った場合は「薬を飲んだ人がいかによくなったか」という情報にだけ注目して「やはり自分の考えは正しかった!」と考えるようになってしまうということです。

確証バイアスの問題点は?

 自分が信じていることが正しいという証拠を集めることに、どのような問題があるのでしょうか?それは「間違っている可能性がある」ということに気がついていないことにあります。

 たとえば、あなたは「自分は積極的に発言できないタイプだ」と感じているとします。

 ある日、話し合いの時に、あるアイデアがうかびます。ところが、そのアイデアを言えないまま話し合いが終わってしまいました。

 すると「やはり自分は積極的に発言できない人だ」とより強く信じるようになります。

 その結果、(積極的に発言ができないから、最初から話し合いに参加しないようにしよう・・・)と考えて、より発言をしなくなるかもしれません。 

 このような結果は極端ではありますが、このように本当かどうかもわからず、自分で証拠を集めて信じ込んでしまっている場合もあるということです。

確証バイアスは何の役にたってきた?

 このような問題を発生させる可能性がある確証バイアスは、なぜ進化の過程をのりこえて残っているのでしょうか?それは、確証バイアスが「認知能力の倹約」につながるからです。

 誰かに何かをプレゼントするときのことを想像してみてください。

 世の中にあるすべてのものから選択する場合、非常に大変です。そのときに「完璧なプレゼントを選ぶ」と考えて世の中すべての選択肢を検討するのは時間とエネルギーがかかりすぎてしまいます。

 そこで「確証バイアス」の登場です。あるプレゼントを選んだときに「このプレゼントは一番人気がある、この色は相手の好きな色だ、だからこのプレゼントがよいに違いない」とある程度のところで満足して選択ができるようになります。

 実際、最大限に良いものを検討する人より、ある程度の点で満足する人では、「ある程度で満足する人」の方が幸福度が高いことがわかっています。

確証バイアスから逃れるためには?

 では、確証バイアスから逃れる方法はあるのでしょうか?その方法が「正反対のことを自問する」という方法です。

 「自分は積極的か?それとも消極的か?」このように考えると、積極的である証拠も消極的である証拠も探しはじめます。

 こうすることで、最初に考えたことだけが正しいとは限らないと気が付くことができるようになります。

それでもバイアスから逃れられない

 しかし、それでもバイアスから逃れられないという状況には出会うことがあります。

 何か効果がある「かもしれない」ということがあれば、(効果がないかもしれないが、やっておくことにしよう・・・)という結論になることが多くなります。

 実際に効果がない、もしくは小さくてほとんど影響がないものであっても(効果がある可能性があるのであれば、やっておこう・・・)と考えて実行していることもあります。

 そうすると、新たな挑戦がしにくくなってしまうということがありますので、時々は「今やっていることは必ずしもしなくてもよいのではないか?」と考えてみることも重要になります。

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