「悪い対立」を「良い対立」にする方法

 世の中では、あらゆるテーマで論争が起きています。本来、論争が起きることに関しては問題はなく、よりよい意見が導かれるのであればむしろ良いことです。しかし、ときには不健全な対立が発生してしまうことがあります。

 どのようにすれば対立を健全なものにすることができるのでしょうか?

 それでは、今回から、アマンダ・リプリーさんの『よい対立 悪い対立』で対立について学んでいきたいと思います。

「不健全な対立」とは?

  「健全な対立」と「不健全な対立」にはどのような違いがあるのでしょうか?

健全な対立

・違いを理解し合う

・違いを向上させていく

不健全な対立

・「善」と「悪」、「わたしたち」と「わたしたち以外」といった反対の関係で起きる

・感情的になる

・自分が優位に立っていると思い込む

このような違いがあります。

 不健全な対立である場合、一度火がつくと過激な行動に発展しやすくなります。さらに、状況を改善できそうな人々はその場から早々に逃げ出してしまい、残っているのは過激派のみということもあります。

 このような不健全な対立がいかにして起こるかを理解することで、不健全な対立がいかに人々の視野をゆがめているのかがわかるようになります。

問題解決に対しての立場

 人々が問題を解決しようとしたときには、2種類の立場がでてきます。

 1つめは「敵対主義」です。お互いが自分に都合の良い利益を追求しあうという状態です。2つめは「連帯」です。違っていることを理解した上で、「わたしたち」の範囲を広げていきます。範囲を広げることで一致できるところ、協力できるところを見つけていくということです。

 「敵対主義」による対立が起きると、人々は怒りを感じます。怒りを感じることで判断力が低下して感情的に言い合うだけということが多くなってしまいます。

対立と向き合う

 対立をのりこえるために必要なことは「対立と向き合う」ということです。当事者が集まり、共に対立している原因となるものを探究していきます。

 探究のためには、お互いに「答えの内容を理解している」状態になる必要があります。

 そのためには、まず「問題を共有する」ことが必要です。そのためには、当事者が集まっている必要があります。

 そして、その問題の原因になっているところをお互いに確認しあうようにします。すると、意見が違っていたとしても、当事者がなぜそのような問題が発生しているのかが見えてきます。

 人は何かを主張するときに「理由と、本当の理由がある」と言われます。

 本当の理由がわかると、手放すことができない一番重要な部分がわかるようになります。

健全な対立の基本

 健全な対立をしていくために大切なことは「聞く姿勢」です。聞く姿勢とは「相手に見える形で聞く」ということです。

 わかったと思い込まずに、最後まで話をきくようにすることで、「話を聞いてもらえている」と感じます。聞いてもらえていると感じることで、主張をする一方で相手の主張も聞き入れるという心構えができてきます。

 そして、話を聞く中で重要だと感じることがあったら、相手の意図と自分の意図が合っているかどうかを確認します。

 確認しあうことで、相手の意図が自分の予想と異なっていることがあると気が付くことができるようになります。

 意図が伝わっていないと感じた話し手は、さらに詳しい説明をしていきます。詳しい説明をする中で自分が考えていることがより明確になり、お互いの理解が深まっていくことにつながります。

 お互いが理解しあうことで、それぞれが当事者意識を持って解決策を探すことができるようになります。このような過程を経てできた結果については、たとえ思い通りの結果でなかったとしても、前向きに受け入れることができるようになります。

カテゴリーに分類することによる効果

 カテゴリーに分類することで、細かい違いを気にせずにすむようになります。そして、あまり難しく考えずに集団の中にいることができ、集団の中にいるということで自信を持つことができます。

 しかし、カテゴリーに分けることには弊害もあります。たとえば、A・Bの2つの意見があった場合、どちらかに入ることで、相手と協力する可能性は低くなります。そして、自分の入っているカテゴリーに合わせて自分を変化させていきます。

 特に二者択一である場合は危険なことがあります。他の可能性を排除して、どちらかが「○」でどちらかが「✖️」であるかのように感じさせます。

コミュニケーションについての勘違い

 人は、自分の意図や考えをしっかりと伝えられているかどうかという点で、過大評価をしてしまう傾向にあります。なぜ過大評価をしてしまうのでしょうか?

 その大きな理由は2つあります。1つめは「きちんと伝わったという思い込みを持っている」こと。2つめは「自分の意図や考えがどのようなものか、自分でも理解できていない」ことです。

 コミュニケーションをとっているときに、自分が見ている現実と、他の人が見ている現実が違うということを忘れてしまうことでこのような勘違いが起きてしまいます。

 自分と他人が同じことをしたとしても、同じように感じないことは多くあります。自分が何かをしたときは、「○○という状況で、□□という理由だったから、△△という行動をした」と考えることができます。しかし、他人が同じことをしたときでも同じように考えることはなくこちらの目線で「きっと☆☆だったのだろう」と決めてしまうことが多いのです。

拒絶への反応

 人は受け入れてもらえると思っていたのに拒絶されると、敵意に近い感情を持つ傾向があります。

 無視に対する反応はおおよそ次のようになることが多いです。

 1 相手の関心を取り戻そうとする

 2 相手に迎合して言われた通りにしようとする

 3 うまくいかない場合「攻撃的」になる

 攻撃的になると一時的には欲求が満たされることがあります。相手を悪者とみなして攻撃することで「悪者と戦っている」という自尊心と目的意識が達成されるためです。

 しかし攻撃により相手に恥をかかせると裏目に出ることが多くなります。恥をかかされた相手は「社会的に排除された」という気持ちになります。そうすると相手の集団とは分裂することになります。さらに相手の集団の結束を強くし、最終的には相手から批判を受けて、自分が悪の側にされてしまうようになってしまいます。

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