自分を変える勇気を手に入れる方法
「あなたはクリエイティブな人間ですか?」
このように質問されると、多くの人は「自分はクリエイティブではない」と答えます。
実際、「クリエイティブ」きくと、一部の才能を持った人々のことを想像することが多いかもしれません。
しかし、実際にはたくさんの人がそれぞれのクリエイティブな部分を持っています。その能力を開花させるためにはどうすればよいのでしょうか?
そこで、今回からトム・ケリーさん、デイヴィッド・ケリーさんの『クリエイティブ・マインドセット 創造力・好奇心・勇気が目覚める驚異の思考法』
で創造性について学んでいきたいと思います。
「創造力に対する自信」はどう育まれるのか?
「創造力に自信がある」と聞くと、天才的なひらめきや生まれ持った才能を想像する人も多いのではないでしょうか。しかし実際には、創造力に対する自信とは、「自分には周囲の世界を変える力がある」というシンプルな信念から生まれます。
そしてこの信念を育てるには、2つの力が必要です。
それは、
- 新しいアイデアを思いつく力
- そのアイデアを実行に移す行動力
の2つです。
どちらか一方だけでは不十分。アイデアがあっても動けなければ効果はありませんし、行動力があっても何をするかのビジョンがなければ、前進できません。
では、この2つの力をどうやって育てればいいのでしょうか?ここで鍵となるのが「デザイン思考」です。
デザイン思考とは?技術よりも「人間中心の視点」が大切
デザイン思考とは、デザイナーが問題を解決するときのような、人間中心の視点に立った思考法です。
これまでの問題解決の多くは、技術や効率性、コストといった論理的な枠組みで語られてきました。しかしデザイン思考はまず「人」に注目します。
たとえば、あるカフェで「回転率を上げたい」という課題があったとします。通常の考え方なら「席数を増やす」「滞在時間を制限する」などが浮かぶかもしれません。
しかし、デザイン思考ではまずお客さんの気持ちを観察します。
「なぜ長く滞在するのか?」「何を求めてここに来ているのか?」
もしかすると、常連客が「このカフェは落ち着くから」という理由で訪れているとしたら?そこに価値があるとすれば、単純な回転率の向上はむしろ本質を損なう可能性もあります。
つまり、共感を通して本当のニーズを理解し、それを出発点に問題を再定義することが大切なのです。
ショッピングカート改革
デザイン思考の代表的な事例としてよく挙げられるのが、デザイン会社によるショッピングカートの再設計プロジェクトです。
このプロジェクトでは、従来の「重い・動かしにくい・盗難が起きやすい」などの問題を解決するために、デザイン会社のチームがまず行ったのは、スーパーマーケットでの顧客観察でした。
彼らはただ「こうあるべき」と机上で考えるのではなく、実際に人々がどんなふうにカートを使い、どんな不便を感じているかを観察し、インタビューしました。
結果として生まれた新しいカートは、以下のような特徴を持っていました。
- 小さく分割可能なバスケット型カート
- スチールワイヤーで囲まれた防盗構造
- 子ども用シートが安全かつ快適に設計されている
このように、人の行動や感情に寄り添うことで、革新的なアイデアが生まれるのです。
アイデアは「ラフ」でいい。大切なのは伝えること
「いいアイデアがあっても、自信がなくて形にできない」という声もよく聞きます。でも、創造的な人たちは、アイデアを完璧にしてから発信しようとはしません。むしろ「ラフでもいいから出してみる」ことを大切にしています。
一般的な思考 vs. 創造的思考の違い
多くの人は、無意識のうちに「既存の選択肢」の中から何かを選ぶ傾向があります。
「AかBか、どっちがいいかな?」といった具合に。
でも創造的な人は、その問い自体に疑問を持ちます。
「そもそも、AでもBでもなく、Cをつくってもいいんじゃないか?」
「AとBを組み合わせたら面白いのでは?」
そう考えることで、見えなかった可能性に気づくことができます。
「もっと良くできるのでは?」という問いを持とう
デザイン思考を実践する人の共通点は、何を見ても「もっとよくできるのでは?」と考えるところにあります。これは一種のマインドセットであり、習慣でもあります。
日常の中で、小さな違和感に気づくこと。
その違和感を放置せず、「なんでだろう?」と掘り下げてみること。
そして、自分なりの小さなアイデアを形にしてみること。
このサイクルを繰り返すことで、創造力への自信は少しずつ育っていきます。
創造力は誰にでもある。育てれば花が咲く
創造力とは、特別な人だけが持っているものではありません。
「人のために何かをよくしたい」という気持ちさえあれば、誰でも育てていくことができます。
まずは人に共感すること。
既存の枠にとらわれず、問い直すこと。
そしてラフでもいいから、行動に移してみること。
この積み重ねが、自分の中の「創造力に対する自信」を育ててくれるのです。
